断食(だんじき、fasting)とは、一定期間食事を意図的に絶つ行為のこと。
断食では食事は断つものの水だけは飲む場合もある。食糧を摂らないことを「絶食」(ぜっしょく)または「不食」(ふしょく)とも言う。 以下のように、様々なことを目的とした断食がある。
一定期間(一般に48時間から72時間)絶食すると体は食糧の供給が停止したと判断して体内に蓄積していた栄養を消費する能力をもっている。この体内に蓄積した栄養が続く範囲なら、食事を摂取しなくても生命を維持できる。
[編集] 断食(絶食)の物理的な効果
食べ物を摂らない場合、人間の体はエネルギーを取得する方法を探すようにできている。グリコーゲンや脂肪に蓄えられた脂肪酸、さらには蛋白質の組織からブドウ糖を引き出す。
体や脳、神経組織は新陳代謝のためにブドウ糖が必要である。まず一日二日断食すると、筋肉からグルコースが生成されるようになる。さらに断食を続けると代謝が変わり、脂肪から脂肪酸をつくりそれがエネルギー源となる。筋肉や心臓、肝臓は脂肪酸を直接エネルギー源とすることができる。このことで筋肉の減少ペースが落ちる。しかし脳は脂肪酸を栄養とすることができないので、断食して三日ほどたつと肝臓において脂肪酸などを分解してケトン体(アセトン他)が生成されるようになる。それによって脳やその他の臓器はグルコースではなくケトン体を主要なエネルギー源とするようになる。
当然だが、脂肪や蛋白質を分解しつくせば死に至る。運動状態や外的状態にも大きく変化するが、適温状態で安静にして水分を適切に摂取した場合、餓死するには一ヶ月以上要する。ただし、水分、塩分の補給のない場合、筋肉が痙攣を起こし易く、心臓など循環系臓器にそれを起こした場合は、この限りではない。つまり、水分、塩分の補給さえあれば、平均体重の者の場合、理論的に一ヶ月は断食を行うことができる。仮に、体重70kg、体脂肪率20%とし、脂肪のカロリーを9kcal/g、低下した基礎代謝を1200kcal/日とすると、70 kg x 0.2(体脂肪率)x 9 kcal/g / 1200 kcal/日 = 105日、となり3ヶ月半ほど生存することができる。
[編集] 起き得るデメリット
- エネルギーの供給を絶つことにより、エネルギー不足と身体が判断し、身体の組織が破壊される。脂肪だけでなく筋肉、骨、毛髪なども、その対象になる。但し短期の断食のおいてはこれが解毒効果をもたらす場合がある。実際、上記のいずれの宗教的断食もそれが元で死に至ることはほとんどない。
- 断食をすることでエネルギー不足になり、身体がエネルギーをため込もうとする。その結果、リバウンドがおきる(#断食(絶食)ダイエット参照)。
- 3食をバランスよく食べたほうが、身体によいとの意見は近代栄養学に多い。
[編集] 医療手段としての断食(絶食)
断食は多くの現代病に効果があるという主張がある。その論拠としては、人間の体は、消化吸収することがない状態に入ると、自然に体にたまった毒素を排泄する作用、デトックス効果があるということである。例として、カネミ油症事件における油症患者のダイオキシン類の排泄量が増え、症状が軽減することが観察されている[4]。
!doctype>